TOPへ

足の裏が痛い(足底筋(腱)膜炎)

足底筋膜炎とは

足底筋膜炎足底筋膜炎は歩行などによる衝撃を和らげる踵から足指の付け根を繋ぐ足底筋膜に炎症が生じて、痛みを呈する病気です。症状としては起床後や休憩後の歩き始めた1歩目の踏み出し時に痛みが出やすいという特徴があり、若年層より中高年に好発します。

足底筋膜炎の原因

足底筋膜の付着部に炎症が起きて痛みを呈する原因として、下記のようなことが挙げられます。

足裏に負担のかかる運動の継続

長時間の立ち仕事やジョギング、マラソン、ハイキングなどの運動の継続によって足底筋膜に負担がかかり炎症が生じます。
またコンクリートやアスファルトなど硬い地面上での運動は発症に繋がるため、土の上や陸上競技場などのような場所で行うことが有効です。

加齢

年齢と共に次第に足底筋膜が柔軟性を失い、衝撃を吸収する作用が衰えるため、回復に時間がかかるようになります。

足裏のアーチのバランスの崩れ

土踏まずのアーチが高過ぎたり、低過ぎたりすると、足底筋膜への負担が大きく炎症が生じます。このようなアーチの崩れは生まれつきの場合もありますが、足裏にタコができて変わることもあります。

運動不足

運動不足状態はアキレス腱の硬さやふくらはぎの筋力低下に繋がり、1歩目を踏み出す動作をする時に足底筋膜への負荷が大きく、炎症が生じやすくなります。

靴が合っていない

足に合わない靴は土踏まずのアーチをしっかり支えられず、サイズが適していない靴を履くと、足底筋膜に無理が生じます。また、動きの多い運動時に合わない靴を履いていると、足底筋膜にさらに負荷がかかってしまいます。

足底筋膜炎の初期症状

起床後に最初の1歩を踏み出した時、あるいは休憩後に歩き始めた時に痛みを感じて、足底筋膜炎を自覚すると言われます。また少し歩くうちに自然に痛みが落ち着くという傾向があります。

  • 足裏を押すと痛みが出る
  • つま先を反らすと足底筋膜が痛い
  • 足底筋膜に小さな腫れが見られる
  • 歩き出した時に足裏に痛みが生じる
  • 少し歩くと痛みが軽くなる
  • 歩き続けると再び足裏に痛みを感じる

足底筋膜炎の検査と診断

レントゲン検査

レントゲン

足底筋膜炎の患者様には、踵骨棘(しょうこつきょく)が見られることがあります。踵骨棘の存在を確認する、また、他の病気との区別するためにレントゲン検査を実施します。

疼痛誘発検査

足底腱膜に腫脹や圧痛がないか、また痛みが生じる部位を確認します。

超音波(エコー)検査

足底腱膜が正常より厚くなっていないか、骨との付着部周囲で炎症が生じていないかを調べます。

MRI検査

足底腱膜の障害の状態や炎症の強さ、広がりなどを詳細に確認します。

足底筋膜炎の治療

安静を第一に足底筋膜炎を引き起こす長時間立ちっぱなしとなる仕事や運動を控えて頂きます。また薬物療法やリハビリなどを実施して、症状の軽減を図ります。

薬物療法

痛み止めの服用や湿布などで、炎症を抑え痛みの緩和を図ります。
なお、激しい痛みがある時には、ステロイド注射を短期間実施する場合があります。

リハビリテーション

リハビリ

医師と理学療法士が連携して、患者様の状態に応じたリハビリテーションを実施します。メニューには、筋力をつける訓練や柔軟性を高めるストレッチなどを行う運動療法、各種機器を用いる理学療法、テーピングやインソールなどによる装具療法などがあります。

リハビリテーション科

治療機器による治療

体外衝撃波などの機器を用います。

体外衝撃波

足底筋膜炎の人がやってはいけないこと

足裏に負担をかける運動をする

スポーツ活動が限定されます。なかでも、足底筋膜炎に繋がる運動を控えることが重要です。また、仕事上長い時間立っていることが多い方は、負担を減らす対応が必要となります。

踵へ衝撃を加える

足への衝撃が大きくなるジャンプ、ダッシュ、ダンス、ランニングなどを行わないことが大切です。
患者様の状態を見ながら、水泳やウォーキングなど、足底筋膜にかかる負荷が小さいスポーツを徐々に始めることを指導します。

市販の鎮痛薬を長期間使用する

市販薬の痛み止めは、突然痛みが強くなった時などに一時的に用いることは問題ありませんが、長期の使用は控えてください。
医療機関をきちんと受診して、病状に応じたお薬を用いて適切な治療を行うことが欠かせません。

合わない靴を履く

運動を行う時だけでなく、日頃から足に合わない靴を履くことによって足底筋膜炎がひどくなる場合があります。靴の表示サイズ以外にも、幅、土踏まずのアーチの支え、甲の高さなど、ご自身の足に合った靴選びをすることが重要です。
なお、足裏に負荷がかかりやすいハイヒール、スリッパ、ビーチサンダルなどは、使用を控えることが推奨されます。

自己判断で患部を冷やしたり温めたりする

症状を軽減するために、冷やすことで急性期の炎症を和らげる、あるいは温めることで持続する痛みを緩和する方法があります。
正しく行えば効果が見られますが、やり方や時期が適切でない場合は悪化に繋がる恐れも否定できません。ご自身の判断で、患部を冷やしたり温めたりせず、医師の診察を受けるようにしましょう。

足底筋膜炎予防のためのセルフケア

下記に、足底筋膜炎の発症を防ぐ効果的なケアをお示しします。

ふくらはぎの筋肉を鍛える・柔軟性を保つ

ふくらはぎの筋力をつける、足首やアキレス腱の硬さをほぐすことも、足底筋膜への負荷を小さくすることに繋がります。年齢に従って衰える筋力や柔軟性を保つためにも、運動習慣、バランスの良い栄養、適切な休息が重要です。

次に、ご自身で行えるストレッチやマッサージ方法をお伝えします。

アキレス腱のストレッチ

一般的な準備運動などで行うストレッチ方法です。
両足で立ち、前後に足を広げます。この状態で、前になった足に体重をかけて、後ろのアキレス腱をゆっくり伸ばしていきます。この時、両足共に踵を上げず床につけた状態を保ちます。1分間ストレッチを行ったら、足を替えて反対側も同様にします。
※勢いよく行うと、アキレス腱に負担がかかるため、じっくり伸ばすことが大切です。

※ふらつく時は、壁や安定の良い台などにつかまりながら行いましょう。

足底筋膜マッサージ

座って片方の膝を曲げ、曲げた足のつま先を手で上にあげます。つま先を反らした状態で、もう一方の手で足裏を丁寧にマッサージします。
1分程度揉んだら、足を替えて反対側も同様に行います。